[ NFB回路の解析と設計
1.NFBの原理と効果
2.入出力関係と伝達関数
3.不安定現象の発生
4.安定性の評価
5.安定化の手法
6.スタガーリング
7.位相進ませ回路による安定化
8.位相遅らせ回路による安定化
9.NFBの設計手順
10.300B AB級pp CR結合ドライブ(強NFB)アンプのNFB回路の設計
第7章 NFB回路の解析と設計
はじめに
・最近は無帰還アンプの製作事例が多い。
・出力管固有の音色を求めてのことだろう。
・ただ無帰還アンプを丁寧に設計して裸特性を追求した後にNFBを軽くかけて低音の締りを良くする事例も良く見かける。
・強度のNFBをかけて特性改善が競われたNFB全盛の時代もあった。
・強度のNFBが音質に悪影響を及ぼすことも常識化されている。
・本章では徹底的なNFBの採用にも対応できるように位相補償による安定化についても詳しく説明する。
7.1 NFB回路の解析
(1)NFBの原理
@出力電圧を初段へ戻す
通常のNFB表記
300BAs無帰還
300BAs NFB 位相補償 電源含む?
解析に便利なNFB表記
特殊ケース(16Ω端子でゲインを増加させるケース)
A入出力関係(ゲインの低下)
β回路によるゲイン低下量
位相補償によるゲイン低下量
(2)NFBの効果
B歪の低減
C周波数特性の改善
DZoの低減(DFの向上)
EZiの増加
FSN比の向上
ハムノイズの低減とSN比の向上
クロストーク(ノイズに帰着する)の低減?????
Gまとめ
特性改善のために積極的にNFBをかける
基本特性の目標値の設定
特性改善率の設定
NFB量の決定
音質調整のために軽くNFBをかける
(3)不安定現象の発生
@方形波のオーバーシュート
第一段階
第二段階
A周波数特性のピーク
第一段階
第二段階
(4)安定性判別
@ボード線図の作成
Aゲイン交点と位相余裕
ゲイン交点[Hz]
位相余裕[°]
安定条件
B位相交点とゲイン余裕
位相交点
ゲイン余裕
安定条件
C安定性の定量的な評価基準
7.2 安定化の手法
(1)スタガーリング法
@適用ケース
少増幅段数
軽度のNFB
(2)位相補償法
@適用ケース
多増幅高数
強度のNFB
Aゲイン余裕改善法(従来の一般的手法)=位相交点のゲインを低下させる
概要
ゲイン確保補償=位相交点のゲインを低下させる(本書では採用しない)
メリット
デメリット
B位相余裕改善法=ゲイン交点の位相を進ませる
概要
波形復元・整形補償=ゲイン交点の位相を進ませる(本書で採用する方式)の採用
高域の位相余裕を位相進ませ回路で確保する方式
低域の位相余裕を位相遅らせ回路で確保する方式
メリット
デメリット
(3)高域の位相余裕最適化・改善法
@位相進ませ回路
A最大位相進み量
B最大位相進み周波数
C位相が進む範囲と折れ線近似
Dゲイン低下量
E挿入位置と等価回路
F安定化のシミュレーション
7.3 300B A級S CRD 8.2W アンプのNFB回路の設計
・位相補償回路を用いて積極的にNFBをかける設計は後述する。
(1)NFBをかける目的の決定
・このアンプはNFBをかけることを目標としてゲイン設計したものではない。
@回路設計が終わった後で、質の調整のために軽くかける程度にする
A音との兼ね合いで安定にかけられるだけのNFBの量とする
(2)無帰還時の基本特性の確認
@300B As CRD 8.2W 無帰還アンプの増幅回路の裸特性
A300Bsアンプの電源回路の特性
(3)NFBアンプのゲイン配分
(4)スタガーリングの実施
@低域のスタガーリング
低域はゲイン=1、利得=0dBの周波数 近辺でスタガーすればよい?
低域カットオフ周波数 近辺でスタガーすればよい?
A高域のスタガーリング カットオフ周波数
高域はゲイン=1、利得=0dBの周波数 近辺でスタガーすればよい?
高域カットオフ周波数 近辺でスタガーすればよい?
(5)β回路の設計
@β回路のR1とR2の設定
AOPTの16Ω端子からのフィードバック
BOPTの一次と二次の巻線方向
C初段の電源電圧の変更
(6)特性改善効果